カチャカチャ・・・・ギィィィィ・・・・カチッ!!
「これでよし!!」
装置の組み立ての最終点検をして笑顔で近寄ってくる彩が、
「これ凄いんだよ~!!なんと!!この装置は、かの有名な!能力開発の・・・って知らないわよね~・・・・」
・・・・・・・・・ポワワ~ン・・・・・・・・・
(ぽわわ~ん・・・・・あれ?なんだろ~・・・身体が中に・・・浮いているみたい・・・・物凄く気持ちがいい~・・・・)
「ふふふ・・・・・・もう聞いてないわね・・・・じゃっ始めるわね!!ふふふ」
カチッ!!
スイッチを入れると同時に大きな音が頭の周りでしたかと思えば、急に頭の中に何かが入ってくる様な感じがした。
(あ・・・あんっ・・・あああん~・・・なんだろ~・・・あ・・・・頭の・・・な・・・か・・・に・・・・)
「ふふふ、気持ちが良さそうね・・・・この様子だと順調に行きそうね!!」
装置をはめられた雅憲の様子をみて伊集院は満足そうな顔をして、モニターに移っているパネルを操作し始めた。
(あ~・・・・頭の中に・・・・き・・・気持ちがいい・・・・)
「彩、脳波形の様子はどうなっているかしら?」
「はい、大丈夫です!!この様子でしたら、もう少しレベルを上げても問題ありません・・・」
伊集院に聞かれ、脳波形のモニターを覗き込んで作業工程の様子を確認し、報告する彩。
「ふふふ、そうね・・・・でも、良いわ・・・・じっくりと定着させた方が面白そうだから・・・・ふふふ・・・」
「そろそろ、第一作業工程が終了します。その後、第二工程に移ります・・・」
他のモニターを確認していた隊員が第一段階終了と第二段階開始の報告をし、タッチパネルを操作している。
「ふふふ、ここからが本番よ!!聞こえるかしら?」
報告を聞き、伊集院が雅憲の顔を覗き込み話しかける。
「ふぁ~い・・・・ほ・・・ほ・ん・ば・ん・・・・・・・?」
伊集院に話しかけられ、何を言っているのかさっぱり訳が分からないが、返答をしていた。
「ふふふ、そう・・・・本番・・・・記憶の定着をするのに必要な工程なのよ・・・」
「こ・・・・・・・う・・・・・・・て・い・・・・・・・?」
「そう・・・日常生活での支障は無いから安心しなさい・・・・」
「は・・・・・い・・・・・・・お・・・・ね・・・が・・・・い・し・・・ま・す・・・・」
「ふふふ・・・・・」
(ふふふ・・・・・・・まずは、本人が気が付かない程度に脳内を女人化させてあげるわ・・・・)
「ふふふ、何で分かるのかって顔をしているわね?」
「えっ?」
「ふふふ、今から使うこの装置は、リラックスと記憶を呼び出し易くさせる為に、貴女の頭の中を整理整頓してるのよ・・・それで、どんな事を考えたのか、どんな経験をしてきたのか等、全て分かる様になっているの」
「えっ、そうなんですか~」
「ええ~・・・・そうなのよ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
(そんな、考えている事が分かるなんて・・・・今の技術じゃ~・・・・・でも伊集院さんなら・・・いやいや、そんな事はない・・・でも・・・何でだろう・・・いつ頃からか、伊集院さんの言う事なら信じても良い様な気が・・・)
本当に大丈夫なのか不安になり、色々考えていたらモニターを覗いていた伊集院がこちらを見て微笑みながら歩いて来た。
「ふふふ、やっぱ~、多少・・・疑っているみたいね?今の技術じゃ~・・・って・・・」
「えっ?何で・・・・」
「貴方が今さっきなんて思ったか言って差し上げましょうか?」
「そっ、そんな・・・・」
(あてずっぽに決まってる・・・当たるはずなんて・・・しまったな~・・・・もっとしっかり考えて、あの時断っていれば・・・・でも、なんだろ~伊集院さんの言う事なら聞いても良い様な気が・・・)
「ふふふ、まず初めが、そんな、考えている事が分かるなんて・・・・今の技術じゃ~・・・・・」
「えっ、ほ、ホントに・・・・」
「そして、その後が・・・・あてずっぽに決まってる・・・当たるはずなんて・・・しまったな~・・・・もっとしっかり考えて、あの時断っていれば・・・・でも・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ふふふ、どうかしら?これでもまだ疑うのかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ふふふ、信じられないのも無理は無いわ!!いいのよ、まだ全てを信じられなくても・・・・この装置にかかれば全て信じる事が出来るから・・・・・後もう少しでリラックスできるわね。」
「あっ・・・・はい・・・・・」
(そう言われると、なんだかさっきから、不安と言うか疲れも無くなって来た様な・・・あ~頭が、ぽわ~っとしてきた・・・・)
「ふふふ、どうかしら?リラックスできている」
「あっ・・・は・い・・・なんだか・・・・身体が・・・軽くなった・・・みたいで・・・気持ちが・・いい・・・」
「ふふふ、そ~ぉ・・・・そうしたら次の工程に入るわね!!」
「あ・・・・はい~・・・・」
(あ~なんだろ~・・・こんなに気持ちがいいなんて・・・・疑ったりして悪かったな~・・・・)
「彩!!例の装置を準備して!!」
「Y E S S A !!」
そう言われ、彩は頭に被せてあった装置を取り外し、美容院にある頭に被せて使うドライヤーの様な機械を頭の上に持っていて固定した。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うっ・・・ううん~・・・」
気が付くと、目の前が明るく、物凄く眩しく目を開けられなかった。
(あ、・・・・あれ?・・・・ここは・・・・・・・そう言えば、車に乗って急に眠くなって・・・・・これは夢?)
「ふふふ、お目覚めかしら?」
何処からともなく聞き覚えのある声か聞こえ、目を覚ました。
「え?・・・あっ・・はい・・・・」
横を向くと白衣を着た伊集院が椅子に腰掛けていた。
「あの~・・・・・」
今の状況がどんな風になっているのか訳けが分からなく、伊集院さんに聞こうとしたが、質問をする前に返答が来てしまった。
「ふふふ、話さなくても分かるわよ・・・今、貴方は脳内及び身体全身をリラックスさせる装置に座っているの・・・これから能力開発する上で物凄く重要になる工程なのよ・・・・だから心配しなくてもいいわよ・・・あっそうそう・・・頭に被せてある帽子みたいなもの・・・高額になるから頭を揺らし過ぎて壊さないようにしてね・・・」
「えっ?そ、そんなにかんたんに壊れるんですか~・・・」
「いいえ・・・通常使用ならそんな事はないけど・・・ただ、頭を思いっきり揺らしたりしたら・・・」
「ああ~・・・分かりました・・・でも~一応聞いておきますけど~・・・高いって~・・・」
「クスクス・・・気になるかしら~・・・」
「ええ~・・・」
「ふふっ・・・そうね~・・・○○駅にあるビルとその前のビルを土地付きで購入してもおつりが来るわね~・・・」
「・・・・・・・・・・」
「あら~・・・どうしたのかしら~・・・急に顔が青くなって~・・・フフフ・・・」
「あ・・・はは・・・ははは・・・・や、やっぱり・・・こ、壊したら・・・」
「ふふふ・・・そうね・・・弁償!!」
「ははは・・・そ、そうですよね~・・・はははは~・・・・・」
「と言いたいところだけど、雅憲君だったら、そうね~ふふっ・・・一生、私達の奴隷に・・・」
「・・・・まっ・・・まじ・・・ですか・・・・」
「あら~嫌なの~・・・」
「え?あ、あはははははは・・・・」
「まっ、いいわ・・・冗談はそこまでにして・・・じゃあ、これから行うわよ!!貴女の頭の中は全て分かるようになっているから・・・変な事考えたらお仕置きだからね!!ふふふ・・・この装置なら全て分かるんだっから・・・」
「そっ・・・そうなんですか~・・・・」
「ええ・・・不安になったりすると上手くいかないから、もっともっと、リラックスして下さいね・・・・」
「あっ・・・・はい・・・」
カラン・カラン♪
「いらっしゃいませ~」
「あっ、あの~・・・待ち合わせで~・・・」
「かしこまりました、あちらのお客様ですね?」
「あっ、はい・・・」
「では、こちらへ~・・・」
「も~遅いから帰っちゃったかと思ったわよ~」
「ごめん、ごめん、事務所を閉める前に電話が数件あって・・・・」
「ふふふ、そうでしたか~・・・お食事は?」
「あっ、まだですが・・・」
「そ~ぉ・・・ここで済ましても良いですけど、何でしたら私の屋敷で・・・」
「えっ?・・・・屋敷?」
(屋敷って・・・何言ってんだ・・・この人・・・もしかして、とんでもない人だったとか・・・?)
「ええ、そうですわ、美味しいお食事を用意させますから・・・」
「はははは~・・・・おっ、お願いしても良いんですか・・・」
「ええ、勿論ですわ!!」
「お食事まで頂けるなんて・・・・」
「ふふふ、じゃあ、行きましょうかしら?」
「あっ、はい・・・・」
席を立つ前に、案内された時に置かれたテーブルに置いてあった水を慌てて、一気に飲み干した。
その行為を逃さずに確認し、怪しい笑みをこぼす伊集院と彩、あの水には何が入っていたのか?雅憲が知る事になる時は・・・・
(フッフッフ・・・・この子はどんな風にしようかしら・・・・)
雅憲をどの様にして女人化させようか色々とプランを練っている伊集院、
(そしてその後は、あの邪魔な弁護士を・・・フッフッフ・・・でも、簡単に女にさせないわ・・・事務所の前に飾っても面白そうね・・・近くにある学校の生徒の注目の的になるわ・・・)
車に乗り、数分が過ぎた所で急に睡魔に襲われ、必死に寝ない様に頑張ったが、奮闘空しく目を閉じるのも知らないうちに寝てしまった・・・
「ふふっ・・・ゆっくりとお休みなさい・・・・お望みの場所へ連れて行ってあげるから・・・・」
あの店で飲んだ水には、催眠と睡眠効果の出る薬品を入れられており、眠くなるとともにこれから当分の間の行動に対して、疑いを持てなくなってしまう様な心理的作用の効果があった。
「あっ!!紹介が遅れましたわね、私、伊集院と申します。実は昨年まで国の研究機関で記憶について研究をしていまして・・・」
そう言い、名刺を雅憲の前に差し出した。
「あ、は~ぁ・・・・」
「先日、貴方が弁護士になるために司法試験の受験勉強をされているって彩から聞きましたもので・・・・」
「あ、は~ぁ・・・・」
「今回、是非、私の方で貴方の夢を叶える為にご協力できないかと思いましてお伺いさせていただきました。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
(さっきは彩さんの笑顔で大丈夫って思ったけど、やっぱ~あやしいじゃん・・・・)
「あ~、今、怪しいって思ってるでしょ~ふふふ、顔に書いてあるよ!!」
彩が笑いながら、心の中を見たかのように言った。
「ん~・・・・でも~・・・・こう言うのって・・・行ってみて、教材や何か変な置物なんかを強引に買わされて・・・って言うんじゃ~・・・」
「くすくす、大丈夫ですわ!!私は貴方のお力になりたいだけですわ!御代の方は考えさせていただきますわ!!もし、気に入らなければすぐにでも止めていただければ結構ですし・・・」
手のひらで口を隠し、くすくす、と笑って答える伊集院
「は~ぁ・・・」
(ま~いいや~・・・今日のところは、良い返事をしておいて、後日うやむやに・・・)
しかし、雅憲のその甘い考えは、伊集院に筒抜けだったらしく無駄になった。
「早速ですが、本日なんてどうでしょうか?」
「えっ?・・・・今日?・・・・ですか・・・・」
(マジか~・・・今日か~・・・なんて断れば、良いんだろう・・・)
「ええ、こう言うのは早いうちにやった方が、宜しいかと思いまして・・・それに試験は、もうすぐなんですよね?」
「あっ、はい・・・」
「ふふふ、こんな事やるよりかは問題集を解いた方が良いって顔をしていますわ!!」
「あっ、ははははははは~・・・」
「なら?こう言うのはどうでしょうか?今日一度だけ試しにやってみては・・・・そして、その後に模試を受けてみるというのは・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
(試し・・・・か~・・・・ん~・・・一度だけなら・・・・)
「ふふふ、決まりね!!やった方が絶対に良いわよ!!ねっ!ねっ!!やりましょ~?」
彩が近づいてきて腕を引っ張り半ば強引に説得させた。
(彩さんがそこまで言うなら、一度だけなら・・・でも、料金の事は聞いておかないと・・・そうだ!!お金がかかるって言われたら、どんな料金設定でも高いって言って断れば・・・)
「あっ・・・はい・・・分かりました・・・でも・・・お金・・・」
「ふふふ、結構ですわ!!少しお手伝いをしてもらうだけで・・・」
何やら怪しげな笑みをして言う伊集院の一言に疑問を持って聞きなおした。
「えっ?お手伝い?」
「ふふふ、あまり気にしなくても良いですわよ!!お手伝いって言ったって、ただ能力のデータを取らせていただくだけの事・・・・このデータだけで私達は満足ですから・・・」
(無料か~・・・だったら少しだけ・・・)
「そっ・・・そうなんですか~・・・・」
「ええ・・・・では、どうしましょうか?私達は、ここまで車で来ているので一緒に行きましょうか?」
「えっ?良いんですか~?」
「ええ、かまいませんわよ!!」
「で、でも~・・・まだ、事務所を閉める訳には~・・・」
「ふふふ、でしたら、事務所を締めるまで、近くのお店でお待ちしていますわ・・・・」
「あっ、はぁ~・・・」
「ふふふ、ではあそこのお店にいますわ・・・・終わったら来てくださいね。」
「はい、分かりました・・・・」
「ふふふ、お待ちしていますわね・・・・」
怪しげな笑みをし挨拶をしながら出て行く伊集院
「じゃあね~」
彩は、手を振って事務所のドアを開けて伊集院が出るのを待って、その後に出て行った。
カチャッ!!
「ふ~ん~・・・・能力開発か~・・・何するんだろ~・・・・でも、これで合格できたら凄いよな~・・・・・」
この伊集院の誘いが雅憲の運命を左右する重大な事になるとは、まだ知る由もなかった。
「・・・・・・・・ま~ま~、立ったままで話をするのもなんですから、こちらへ・・・今お茶出しますから・・・・」
彩の勢いに負けて、怪しい雰囲気の女性の話を聞く事になってしまった。
この先に待っている悲劇を知らずに・・・
「も~・・・・そんなに気にしなくてもい~のに!!あっ!私、紅茶ね!!」
「はいはい、紅茶に、コーヒーですね!では早速!!」
慌てて、給湯室へ行く雅憲
「クスクス・・・どうですか?伊集院様・・・あの子・・・けっこう良いOLになりそうですが・・・」
彩が小声で伊集院の耳元で今後の処遇について聞いてみるが・・・
「ふふっ・・・そうね・・・でも、これから考えるわ・・・・ふふふ・・・OLにしてあの弁護士を・・・ふふふ、それも面白そうね・・・・」
少し怒りが感じられる怪しげな笑みをこぼし、笑う伊集院だった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
カチャッ! カチャッ!
「え~っと、こっちがお客様のコーヒーで、こっちが彩さんの紅茶っと・・・・ささっ、熱いうちにどうぞ!!」
「ありがと~!」
「頂きますわね!!」
「で、何のお話なんでしょうか?先生がいなくてもいい話って・・・保険の勧誘?それとも・・・」
先程、彩の強引な押しに負け、事務所に入れてしまったが、よくよく考えて見ると、何者か知らない業者の説明で、やっぱり怪しく思い断ろうかと悩むが・・・
「ふふふ、そんなに疑わなくても・・・ぜ~ったい怪しくないって!!」
その満面な笑みで答える彩の笑顔によって、その不安が消え去ってしまった。
「はぁ~い!!来ちゃった!!」
インタホンに付いているカメラモニターで誰か確認すると、そこにはこの前バーで知りあった彩の姿かあった!!
「えっ!!なっ、なんで・・・・」
「い~じゃない!!今日は、お仕事を頼みに来たんだから~!!」
「えっ?君が?・・・・」
「私じゃ~無いの!!と言うか、インターホンごしの会話って・・・・中に入れさせてくれないの?」
「あっ!!ごめんごめん・・・・じゃあ~開けるから」
入り口玄関の扉の施錠を開けるボタンを押した。
「ふふふ、ありがと~!!」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
カチャッ!!
事務所の扉が開くと同時に彩の元気な声が聞こえた!!
「はぁ~い!!おひさしぶり~!!」
片手を上げて笑顔で言う彩だった。彩の後ろには真っ黒で髪の長い女性が立っていた。
「いや~・・・まさかここに来るとは・・・・あっ、さっき言ってた依頼人って?」
彩の後ろにいる女性の方に視線をやり確認する雅憲。
「う~ん~・・・・依頼って言うか~・・・ん~・・・依頼って言うより、貴方にとって物凄く良い事何だけど・・・・」
「えっ?良い事?・・・・でも、今ちょっと先生いなくて・・・」
「いいの、い~の!先生がいない方が都合が良いから!!」
「先生がいない方が良い?」
「うん、そう!ま~話だけでも聞いてみてよ!!」
「えっ・・・・あっ・・・うん・・・」
「ふふふ、絶対にいい条件だから・・・ねっ!!」
彩は強引に、怪しい雰囲気の女性の話を聞かせようとする。
あまりにも強引な為、引いてしまう雅憲だったが、なぜが口では素直に彩の言葉を信用した返答をしてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・てな事があってホント凄い美人がいたんですよ~!!しかも二人とも!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「所長~!!聞いてます~?・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あれ?・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
事務所内を見渡すと、雅憲の話を聞き逃したまま、もうすでに河西弁護士は出かけてしまっていた・・・
「もう、出かけちゃったんだ・・・・・国相手の儲からない仕事をして、何が楽しいんだか・・・・あ~あ・・・今日も帰って来ないんだろ~なー・・・ふ~・・・・どうせやること無いんだし・・・事務所が終わる時間まで勉強でもするかな~・・・・」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
ピンポーンー・ピンポーンー・ピンポーンーピンポーンー・ピンポーンー・ピンポーンー
(ん?誰だろ~・・・今日依頼者が来る予定は無かったけど・・・飛込み?それにしてもこのチャイムの押し方は・・・)
「はい、はい、はい、今出ますって!!」
カチャッ!
インターホンの受話器を慌てて取り返事をした。
「はい!!どちら様でしょうか?」
「へ~・・・法律関係のお仕事をされているんですか~・・・凄いですね~ステキですよね~」
「えっ?そ~お?・・・と言っても、まだ助手なんだけどね・・・・」
顔を赤くして恥ずかしそうにし、片手で髪の毛をかいた。
「そんな事ないですよ~試験に合格していつかは独立されるんですよね~」
「ははは・・・そっ、そうだね・・・試験に合格したらだけど・・・ね・・・」
「いいな~・・・私もそう言うお仕事してみたいな~・・・・」
(多分、こう言う人間は、こうやって攻めればすぐに食いつくわ)
「だったら、うちに来ればいいじゃん!!確か~募集してるよ!!」
「そうなの~・・・じゃあ、今度見学にでもしに行こうかしら~・・・・」
(ふふふ・・・・やっぱり食いついた・・・あの弁護士の助手って言ってたから手ごわいと思ってたけど、この子は簡単ね!!何だか期待しすぎて損した気分・・・)
「是非是非!!来てよ~!!所長と男二人で何の色気も無い所だけど・・・・」
「ふふふ・・・そ~ね~・・・何だか楽しそ~・・・・で、所長ってどんな方なの?」
「ん?・・・そうそう~・・・その所長なんだけど、ホント、このまま一生あの事務所をやって行くつもりなのか?全く金儲けする気が無いみたいで、毎回金にならない裁判をやってて・・・・今回は、大企業と政治家の裏献金問題とか~・・・・」
その話を聞きいた途端、急に目が鋭くなった様に思えたが・・・
(あれ?どうしたんだろ~・・・もしかして関係者だったのかな~・・・一瞬だけ表情が変わった様な・・・・・・・・いや・・・勘違いか~・・・)
まさか、ここに関係者がいるとは思わず、気のせいだと思ってしまった・・・
「献金?政治家って・・・・大企業って?分かってるの~?・・・知ってるんでしょ~・・・でも~献金なんて普通じゃない?」
「ま~献金ならね~・・・それが~・・・あっ!!駄目駄目!!こう言う事は言えないの!!守秘義務って言う・・・・」
「ええ~!!ね~ぇ~、いいじゃ~ない~、ちょっとだけ・・・ちょっとだけ教えてよ~・・・・ね~・・・・ん~・・・分かった!!じゃあ、ヒント!!ねっ!ヒ・ン・ト」
「だっ、駄目たって・・・そう言われても・・・・」
「も~ケチッ!!・・・・だったら・・・・これならどう?」
手を胸のほうに持っていき、当てて目をウルウルさせてもう一度聞いた。
「ね~ぇ・・・ヒ・ン・ト!!」
耳元で囁かれ、ほろっと・・・・
「じゃあ~、ヒントだけなら・・・・でも絶対に他の人に言ったら駄目だよ!!い~い?」
「うん、約束する!!」
彩の心の中では
(ふふふ、馬鹿ね・・・・この世の中に絶対ってないのよ!!秘密って言う物は誰にも言わないから秘密になるのよ!!)
「企業の方だけど、M社なんだって・・・・」
「えっ?あのメスクリン社?」
「えっ!!あっ、いや~・・・・M社・・・って言っただけで・・・メスクリン社だなんて、一言も・・・・」
「でも、この近くにある大企業でMって言ったらあそこしかないじゃない~!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ね~そうなんでしょ~?」
「・・・・・・・・・・・・ま~後はご想像に・・・・・・・・・」
(男って本当に単純ね!!ターゲットは彼で決まりね・・・・後は、ミルダを呼び出して・・・)
隠し持っていた呼び出しようのベルのボタンを押した。
「ふふふ、まっ、良いわ!!そろそろ友達が来たみたい!!」
「えっ?どこどこ?」
「ほら、あそこ・・・スラッとして金髪の・・・」
雅憲は、指を指された方向を目が飛び出てしまうかと言うぐらい開いて確認した。
「うわ~!!凄い美人・・・・あんな美人見た事ない・・・」
「あら?私は美人じゃ~無いって事?さっき言ってたわよね?」
「えっ?あはははははは~・・・そっ、それは~・・・あっ、そうそう、君は~可愛い方で~・・・・」
「ふ~ん、そ~・・・じゃっ!あっちで友達が待っているから私行くね!」
「えっ?そっ、そんな~・・・せめて紹介だけでも・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ふふふ、今度紹介してあげるわ!!その時に貴女は・・・・)
・・・・・数日前・・・
カラン、カラン~♪
「いらっしゃいませ・・・・お一人ですか?」
「あっ!はい・・・」
「ではこちらで・・・・」
「どうも~!・・・・・ふ~・・・今日も疲れたな~・・・何、飲もうかな~?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まっ、とりあえずビールお願い!!」
「かしこまりました・・・」
「多分、この調子だと~今年も駄目かな~・・・・来週・・・・だもんな~・・・あ~あ・・・前回の試験が終わった時、この一年きちんとやれば受かると思ってたのに・・・気が付いたら・・・は~ぁ~・・・まっ、仕方ないか~・・・今年は諦めて来年に!・・・」
「どうぞ」
「ありがと~♪さ~て、考えても無駄だし、まずは飲むか~」
グビッ・グビッ・グビッ・・・・・・・・・・・
「ふ~・・・・いや~やっぱ~この最初の一杯が良いんだよね~・・・・あ~あ・・・良い事無いかな~・・・・」
独り言を呟いていると、カウンターに女性一人で飲んでいる姿が目に入った。
「おっ!!なかなかの美人じゃん!!」
そう言って、気付かれない様に近付いて行くが、その一言は彼女にとどいていた。
「あっ!!すいません・・・お一人で?・・・・」
「ふふっ・・・・今はそうよ・・・・」
「えっ?今????」
「ええ、待ち合わせしてるのよ!!」
「あ~・・・・待ち合わせ・・・・ね~・・・・これは・・・失礼しました・・・」
待ち合わせじゃ~しょうがない・・・仕方なくさっきまで座っていた席に戻ろうとした時、
「ふふふ、気にしなくていいわよ・・・まだ来る気配ないみたいだから、それまで一緒にどうかしら?」
と言う、思いもよらない返事がきた。
「えっ!!良いんですか?・・・でも・・・後から来た相手に・・・・」
「ふふふ、大丈夫よ!!一緒に飲む相手も女性だから・・・それに男性と飲むのって久しぶりだから・・・・ここまで言わせておいて断るなんてしないわよね?」
「もっ・・・もっちろん!!是非ご一緒させていただきます・・・」
(えっ?まじ!!まじでこんな美人が誘いにのったなんて・・・う、うそだろ・・・)
こんな美人と一緒に飲める機会はめったに無いと思い、しかし大いに喜ぶのはちょっと・・・・と思い、喜びを我慢して・・・
「ふふふ、じゃあ、あっちの席に移りましょう」
「ええ・・・」
「ふふふ、今に見てなさい・・・・これからたっぷりと可愛がってあげる・・・・」
そう言って、なにやらミルダや彩に調べさせた資料を見ながらプランを練っていた。
「今回は、あの二人に任せておけば良いかしら・・・・こっちは、まだまだお楽しみの続きがあるから・・・・」
プルルル・・・プルルルル・・・・
「何かしら?・・・・えっ!!なっ!!・・・で・・・データは・・・・そっ・・・・そう・・・復元は出来そうかしら・・・・分かったわ・・・・お願い・・・・」
ガチャッ!!
「ふっふっふっふっふっふ・・・・あははははははは~・・・・よくもやってくれたわね~・・・・何がお土産よ!!・・・・ただのウイルスじゃない!!・・・・」
深く腰掛けていた椅子から立ち上がって、机に置いてあった名刺を破ってゴミ箱に投げ捨て、どの様な仕返しをしようか考えている。
「ふふふ・・・・拉致・・・・誘拐・・・・人権侵害ですって・・・ふふふ・・・だったら、人じゃなければ人権もないわよね・・・・・・ふふふ・・・覚えてなさい・・・可愛くしてお人形にって思ったけど・・・・これだけじゃ~気が治まらないわね・・・・どうやって精神的に追い詰めてあげようかしら?・・・・くすっ!!ふふふ・・・そうだわ・・・あれよ!!あれ・・・あれがあるじゃない!!ふふふ・・・ふふっ・・・あはははははははははは・・・・どんな顔して謝るかしら~・・・楽しみだわ!!」
・・・・・・・・・・数ヵ月後・・・・・・・・
徹底的に調べた結果、会社の実態からその中の秘書課に目をつけた河西は、色々な方法で証拠を集めていた。
そして、その件を調べている事を知った、伊集院は大事にならない様に各部署に圧力をかけたが、一人で行動をする河西にとっては何にも効果はなかった。
そして、ある日・・・
一つの証拠を持って伊集院の前にある人物が現われた。
「あっ!!どうも~・・・私、こう言う者でして・・・」
そう言い、伊集院に名刺を手渡し話続ける河西、
「実は~・・・・こう言うものを入手したのですが・・・これって・・・・」
彼が色々な方法で入手した証拠の中に、女人化オークションによって入金された公に出来ない明細書の一部を伊集院に見せた。
「・・・・・・・・・・・いったい、これがなんでしょうか?」
表情一つ変えずに、伊集院が返答をするが・・・
「あれ~・・・・分かりませんかね~・・・・この前・・・ある建物で行われたんですよね~?・・・・これって・・・拉致、誘拐?・・・ま~・・・人権侵害も~・・・・」
「クスクス・・・拉致?誘拐?人権侵害ですって?・・・いったい何の事だかまったく見当も付きませんわ~?」
「へ~・・・そ~なんですか~・・・・まっ、でもこの資料の発信基は~・・・あそこのビルで、確か~この会社の所有物件ですよね~?しかも、この会場って・・・法務省に届出してある資料と合致しないんですよね~・・・・で・・・登記簿を詳しく調べても・・・それに、これを提出したのって・・・貴女・・・・ですよね~?」
「・・・・・・・・そうね・・・・・でも・・・・証拠は?」
登記簿の写しを出され、確認し少し考えた後に答える伊集院、
「はははは~・・・・証拠ですか~・・・・そうですね~・・・・ん~・・・確かに・・・そう言われると~・・・・でも、実際に人が行方不明になって、ここにいたとする様な、この資料をマスコミに流せば・・・ま~多分貴女の事ですから、色々な場所に根回しをしているんで、マスコミもすぐには動かないと思いますから・・・・ん~・・・・ネットで暴露みたいな事なんて、面白かったりしません?」
「ふふふ・・・で・・・・何が言いたいのかしら?」
今まで、まったく表情を変えなかった伊集院が少しひきつった笑顔で聞くと、
「まっ!!そういう事は、追々考えますわ~・・・そうですね~・・・ネットで流して、民意を見方にすれば勝ち目は・・・・ふっ!・・・冗談、冗談ですって!!ま~今日の所は、ちょっとした挨拶ですので・・・・・・・そんなに表情を硬くしなくても・・・美人が勿体無いですよ!はっはっはっはっは~」
そう言って、席を立って部屋の扉を開けて出て行こうとした。
「あっ・・・そうそう!!・・・お土産・・・・と言うか、ちょっとしたお礼を・・・・・置いておきましたから・・・・楽しんでくださいね?・・・・その代わりに、こっちはその分、良い物を頂いたんで・・・・・・後~・・・・変な考えは起こさないで下さいね!!自分が何かあった時の対策も設定してあるので・・・・じゃっ!!収入源さん!!あっはっはっはっはっはっはっはっはっは~!!」
バタン!!
そう言って、部屋を出て行った。
「所長~!!昨日仕事帰りに寄ったバーで凄い美人を見つけたんですよ~!!」
昨日の事を思い出し、幸せな顔をして得意そうに話しかける補助者の雅憲
「へ~ぇ・・・試験が迫っているのにずいぶん余裕だな~・・・・で、どんな美人だったんだ?」
書類に目を通しながら、行動に釘を刺しつつ、どの様な美人だったのか気になっているのが、この事務所の長である弁護士の河西である。
「それが、も~言葉にあらわせる事ができないぐらいの美人なんですよ!!しかも二人とも!!金髪美人ですよ~!!今度、所長も一緒に飲みに行きましょうよ~!!」
「そうだな~・・・・試験が無事に終わればな・・・・まっ!!美人もいいけど程ほどにな!!深入りすると、火傷じゃ~すまなくなるぞ・・・・」
「大丈夫ですって・・・しかも、あの二人法律関係の仕事に興味があるらしくって・・・・」
「へ~・・・・ほんじゃ~ちょっくら調べ物があるから留守番頼むわ~・・・」
「あっ!!所長~・・・・」
雅憲の話を聞き逃し、自分の仕事に出て行ってしまった河西弁護士・・・
「あ~あ・・・行っちゃった~・・・・本当に美人だったのに~・・・」
この河西法律事務所の特徴は、国を相手にする裁判を多く扱っており、
今も、国や県や市町村の裏金問題や、議員の問題行動についての訴訟依頼を多く抱えていた。
その中でも、ある大企業から不明金がある大臣に政治献金として流れていると言う噂を聞きつけ調査までしている最中で、その不明金が脱税疑惑や、見返り献金と言う噂もちらほらあり、依頼された以上に個人的にも興味を示し深くまでのめり込んで調査していた。
しかも、その大企業と言うのが!!・・・何と、メスクリン社であった。
今後、河西弁護士達の運命が悲惨な道を辿るとは知らずに・・・
さ~て、書き始めるぞ~!!
お楽しみに!!
テーマ : 日記
ジャンル : アダルト
それでもあなたに恋をする
発売された新作で、盗作の疑念がある為、表のページでの紹介を外させてもらいました。
いい作品を作られていて、これからが楽しみな作者だけに、残念です。
もし、今回の件が本当だとするのなら、一度反省してから、再度チャレンジして欲しいです。
作品を出そう出そうと、少し焦ってしまったのでしょうか?
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テーマ : エッチな同人誌、同人ソフト
ジャンル : アダルト