・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うっ・・・ううん~・・・」
気が付くと、目の前が明るく、物凄く眩しく目を開けられなかった。
(あ、・・・・あれ?・・・・ここは・・・・・・・そう言えば、車に乗って急に眠くなって・・・・・これは夢?)
「ふふふ、お目覚めかしら?」
何処からともなく聞き覚えのある声か聞こえ、目を覚ました。
「え?・・・あっ・・はい・・・・」
横を向くと白衣を着た伊集院が椅子に腰掛けていた。
「あの~・・・・・」
今の状況がどんな風になっているのか訳けが分からなく、伊集院さんに聞こうとしたが、質問をする前に返答が来てしまった。
「ふふふ、話さなくても分かるわよ・・・今、貴方は脳内及び身体全身をリラックスさせる装置に座っているの・・・これから能力開発する上で物凄く重要になる工程なのよ・・・・だから心配しなくてもいいわよ・・・あっそうそう・・・頭に被せてある帽子みたいなもの・・・高額になるから頭を揺らし過ぎて壊さないようにしてね・・・」
「えっ?そ、そんなにかんたんに壊れるんですか~・・・」
「いいえ・・・通常使用ならそんな事はないけど・・・ただ、頭を思いっきり揺らしたりしたら・・・」
「ああ~・・・分かりました・・・でも~一応聞いておきますけど~・・・高いって~・・・」
「クスクス・・・気になるかしら~・・・」
「ええ~・・・」
「ふふっ・・・そうね~・・・○○駅にあるビルとその前のビルを土地付きで購入してもおつりが来るわね~・・・」
「・・・・・・・・・・」
「あら~・・・どうしたのかしら~・・・急に顔が青くなって~・・・フフフ・・・」
「あ・・・はは・・・ははは・・・・や、やっぱり・・・こ、壊したら・・・」
「ふふふ・・・そうね・・・弁償!!」
「ははは・・・そ、そうですよね~・・・はははは~・・・・・」
「と言いたいところだけど、雅憲君だったら、そうね~ふふっ・・・一生、私達の奴隷に・・・」
「・・・・まっ・・・まじ・・・ですか・・・・」
「あら~嫌なの~・・・」
「え?あ、あはははははは・・・・」
「まっ、いいわ・・・冗談はそこまでにして・・・じゃあ、これから行うわよ!!貴女の頭の中は全て分かるようになっているから・・・変な事考えたらお仕置きだからね!!ふふふ・・・この装置なら全て分かるんだっから・・・」
「そっ・・・そうなんですか~・・・・」
「ええ・・・不安になったりすると上手くいかないから、もっともっと、リラックスして下さいね・・・・」
「あっ・・・・はい・・・」
カラン・カラン♪
「いらっしゃいませ~」
「あっ、あの~・・・待ち合わせで~・・・」
「かしこまりました、あちらのお客様ですね?」
「あっ、はい・・・」
「では、こちらへ~・・・」
「も~遅いから帰っちゃったかと思ったわよ~」
「ごめん、ごめん、事務所を閉める前に電話が数件あって・・・・」
「ふふふ、そうでしたか~・・・お食事は?」
「あっ、まだですが・・・」
「そ~ぉ・・・ここで済ましても良いですけど、何でしたら私の屋敷で・・・」
「えっ?・・・・屋敷?」
(屋敷って・・・何言ってんだ・・・この人・・・もしかして、とんでもない人だったとか・・・?)
「ええ、そうですわ、美味しいお食事を用意させますから・・・」
「はははは~・・・・おっ、お願いしても良いんですか・・・」
「ええ、勿論ですわ!!」
「お食事まで頂けるなんて・・・・」
「ふふふ、じゃあ、行きましょうかしら?」
「あっ、はい・・・・」
席を立つ前に、案内された時に置かれたテーブルに置いてあった水を慌てて、一気に飲み干した。
その行為を逃さずに確認し、怪しい笑みをこぼす伊集院と彩、あの水には何が入っていたのか?雅憲が知る事になる時は・・・・
(フッフッフ・・・・この子はどんな風にしようかしら・・・・)
雅憲をどの様にして女人化させようか色々とプランを練っている伊集院、
(そしてその後は、あの邪魔な弁護士を・・・フッフッフ・・・でも、簡単に女にさせないわ・・・事務所の前に飾っても面白そうね・・・近くにある学校の生徒の注目の的になるわ・・・)
車に乗り、数分が過ぎた所で急に睡魔に襲われ、必死に寝ない様に頑張ったが、奮闘空しく目を閉じるのも知らないうちに寝てしまった・・・
「ふふっ・・・ゆっくりとお休みなさい・・・・お望みの場所へ連れて行ってあげるから・・・・」
あの店で飲んだ水には、催眠と睡眠効果の出る薬品を入れられており、眠くなるとともにこれから当分の間の行動に対して、疑いを持てなくなってしまう様な心理的作用の効果があった。
「あっ!!紹介が遅れましたわね、私、伊集院と申します。実は昨年まで国の研究機関で記憶について研究をしていまして・・・」
そう言い、名刺を雅憲の前に差し出した。
「あ、は~ぁ・・・・」
「先日、貴方が弁護士になるために司法試験の受験勉強をされているって彩から聞きましたもので・・・・」
「あ、は~ぁ・・・・」
「今回、是非、私の方で貴方の夢を叶える為にご協力できないかと思いましてお伺いさせていただきました。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
(さっきは彩さんの笑顔で大丈夫って思ったけど、やっぱ~あやしいじゃん・・・・)
「あ~、今、怪しいって思ってるでしょ~ふふふ、顔に書いてあるよ!!」
彩が笑いながら、心の中を見たかのように言った。
「ん~・・・・でも~・・・・こう言うのって・・・行ってみて、教材や何か変な置物なんかを強引に買わされて・・・って言うんじゃ~・・・」
「くすくす、大丈夫ですわ!!私は貴方のお力になりたいだけですわ!御代の方は考えさせていただきますわ!!もし、気に入らなければすぐにでも止めていただければ結構ですし・・・」
手のひらで口を隠し、くすくす、と笑って答える伊集院
「は~ぁ・・・」
(ま~いいや~・・・今日のところは、良い返事をしておいて、後日うやむやに・・・)
しかし、雅憲のその甘い考えは、伊集院に筒抜けだったらしく無駄になった。
「早速ですが、本日なんてどうでしょうか?」
「えっ?・・・・今日?・・・・ですか・・・・」
(マジか~・・・今日か~・・・なんて断れば、良いんだろう・・・)
「ええ、こう言うのは早いうちにやった方が、宜しいかと思いまして・・・それに試験は、もうすぐなんですよね?」
「あっ、はい・・・」
「ふふふ、こんな事やるよりかは問題集を解いた方が良いって顔をしていますわ!!」
「あっ、ははははははは~・・・」
「なら?こう言うのはどうでしょうか?今日一度だけ試しにやってみては・・・・そして、その後に模試を受けてみるというのは・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
(試し・・・・か~・・・・ん~・・・一度だけなら・・・・)
「ふふふ、決まりね!!やった方が絶対に良いわよ!!ねっ!ねっ!!やりましょ~?」
彩が近づいてきて腕を引っ張り半ば強引に説得させた。
(彩さんがそこまで言うなら、一度だけなら・・・でも、料金の事は聞いておかないと・・・そうだ!!お金がかかるって言われたら、どんな料金設定でも高いって言って断れば・・・)
「あっ・・・はい・・・分かりました・・・でも・・・お金・・・」
「ふふふ、結構ですわ!!少しお手伝いをしてもらうだけで・・・」
何やら怪しげな笑みをして言う伊集院の一言に疑問を持って聞きなおした。
「えっ?お手伝い?」
「ふふふ、あまり気にしなくても良いですわよ!!お手伝いって言ったって、ただ能力のデータを取らせていただくだけの事・・・・このデータだけで私達は満足ですから・・・」
(無料か~・・・だったら少しだけ・・・)
「そっ・・・そうなんですか~・・・・」
「ええ・・・・では、どうしましょうか?私達は、ここまで車で来ているので一緒に行きましょうか?」
「えっ?良いんですか~?」
「ええ、かまいませんわよ!!」
「で、でも~・・・まだ、事務所を閉める訳には~・・・」
「ふふふ、でしたら、事務所を締めるまで、近くのお店でお待ちしていますわ・・・・」
「あっ、はぁ~・・・」
「ふふふ、ではあそこのお店にいますわ・・・・終わったら来てくださいね。」
「はい、分かりました・・・・」
「ふふふ、お待ちしていますわね・・・・」
怪しげな笑みをし挨拶をしながら出て行く伊集院
「じゃあね~」
彩は、手を振って事務所のドアを開けて伊集院が出るのを待って、その後に出て行った。
カチャッ!!
「ふ~ん~・・・・能力開発か~・・・何するんだろ~・・・・でも、これで合格できたら凄いよな~・・・・・」
この伊集院の誘いが雅憲の運命を左右する重大な事になるとは、まだ知る由もなかった。
「・・・・・・・・ま~ま~、立ったままで話をするのもなんですから、こちらへ・・・今お茶出しますから・・・・」
彩の勢いに負けて、怪しい雰囲気の女性の話を聞く事になってしまった。
この先に待っている悲劇を知らずに・・・
「も~・・・・そんなに気にしなくてもい~のに!!あっ!私、紅茶ね!!」
「はいはい、紅茶に、コーヒーですね!では早速!!」
慌てて、給湯室へ行く雅憲
「クスクス・・・どうですか?伊集院様・・・あの子・・・けっこう良いOLになりそうですが・・・」
彩が小声で伊集院の耳元で今後の処遇について聞いてみるが・・・
「ふふっ・・・そうね・・・でも、これから考えるわ・・・・ふふふ・・・OLにしてあの弁護士を・・・ふふふ、それも面白そうね・・・・」
少し怒りが感じられる怪しげな笑みをこぼし、笑う伊集院だった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
カチャッ! カチャッ!
「え~っと、こっちがお客様のコーヒーで、こっちが彩さんの紅茶っと・・・・ささっ、熱いうちにどうぞ!!」
「ありがと~!」
「頂きますわね!!」
「で、何のお話なんでしょうか?先生がいなくてもいい話って・・・保険の勧誘?それとも・・・」
先程、彩の強引な押しに負け、事務所に入れてしまったが、よくよく考えて見ると、何者か知らない業者の説明で、やっぱり怪しく思い断ろうかと悩むが・・・
「ふふふ、そんなに疑わなくても・・・ぜ~ったい怪しくないって!!」
その満面な笑みで答える彩の笑顔によって、その不安が消え去ってしまった。
「はぁ~い!!来ちゃった!!」
インタホンに付いているカメラモニターで誰か確認すると、そこにはこの前バーで知りあった彩の姿かあった!!
「えっ!!なっ、なんで・・・・」
「い~じゃない!!今日は、お仕事を頼みに来たんだから~!!」
「えっ?君が?・・・・」
「私じゃ~無いの!!と言うか、インターホンごしの会話って・・・・中に入れさせてくれないの?」
「あっ!!ごめんごめん・・・・じゃあ~開けるから」
入り口玄関の扉の施錠を開けるボタンを押した。
「ふふふ、ありがと~!!」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
カチャッ!!
事務所の扉が開くと同時に彩の元気な声が聞こえた!!
「はぁ~い!!おひさしぶり~!!」
片手を上げて笑顔で言う彩だった。彩の後ろには真っ黒で髪の長い女性が立っていた。
「いや~・・・まさかここに来るとは・・・・あっ、さっき言ってた依頼人って?」
彩の後ろにいる女性の方に視線をやり確認する雅憲。
「う~ん~・・・・依頼って言うか~・・・ん~・・・依頼って言うより、貴方にとって物凄く良い事何だけど・・・・」
「えっ?良い事?・・・・でも、今ちょっと先生いなくて・・・」
「いいの、い~の!先生がいない方が都合が良いから!!」
「先生がいない方が良い?」
「うん、そう!ま~話だけでも聞いてみてよ!!」
「えっ・・・・あっ・・・うん・・・」
「ふふふ、絶対にいい条件だから・・・ねっ!!」
彩は強引に、怪しい雰囲気の女性の話を聞かせようとする。
あまりにも強引な為、引いてしまう雅憲だったが、なぜが口では素直に彩の言葉を信用した返答をしてしまった。