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「・・・てな事があってホント凄い美人がいたんですよ~!!しかも二人とも!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「所長~!!聞いてます~?・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あれ?・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
事務所内を見渡すと、雅憲の話を聞き逃したまま、もうすでに河西弁護士は出かけてしまっていた・・・
「もう、出かけちゃったんだ・・・・・国相手の儲からない仕事をして、何が楽しいんだか・・・・あ~あ・・・今日も帰って来ないんだろ~なー・・・ふ~・・・・どうせやること無いんだし・・・事務所が終わる時間まで勉強でもするかな~・・・・」
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ピンポーンー・ピンポーンー・ピンポーンーピンポーンー・ピンポーンー・ピンポーンー
(ん?誰だろ~・・・今日依頼者が来る予定は無かったけど・・・飛込み?それにしてもこのチャイムの押し方は・・・)
「はい、はい、はい、今出ますって!!」
カチャッ!
インターホンの受話器を慌てて取り返事をした。
「はい!!どちら様でしょうか?」
「へ~・・・法律関係のお仕事をされているんですか~・・・凄いですね~ステキですよね~」
「えっ?そ~お?・・・と言っても、まだ助手なんだけどね・・・・」
顔を赤くして恥ずかしそうにし、片手で髪の毛をかいた。
「そんな事ないですよ~試験に合格していつかは独立されるんですよね~」
「ははは・・・そっ、そうだね・・・試験に合格したらだけど・・・ね・・・」
「いいな~・・・私もそう言うお仕事してみたいな~・・・・」
(多分、こう言う人間は、こうやって攻めればすぐに食いつくわ)
「だったら、うちに来ればいいじゃん!!確か~募集してるよ!!」
「そうなの~・・・じゃあ、今度見学にでもしに行こうかしら~・・・・」
(ふふふ・・・・やっぱり食いついた・・・あの弁護士の助手って言ってたから手ごわいと思ってたけど、この子は簡単ね!!何だか期待しすぎて損した気分・・・)
「是非是非!!来てよ~!!所長と男二人で何の色気も無い所だけど・・・・」
「ふふふ・・・そ~ね~・・・何だか楽しそ~・・・・で、所長ってどんな方なの?」
「ん?・・・そうそう~・・・その所長なんだけど、ホント、このまま一生あの事務所をやって行くつもりなのか?全く金儲けする気が無いみたいで、毎回金にならない裁判をやってて・・・・今回は、大企業と政治家の裏献金問題とか~・・・・」
その話を聞きいた途端、急に目が鋭くなった様に思えたが・・・
(あれ?どうしたんだろ~・・・もしかして関係者だったのかな~・・・一瞬だけ表情が変わった様な・・・・・・・・いや・・・勘違いか~・・・)
まさか、ここに関係者がいるとは思わず、気のせいだと思ってしまった・・・
「献金?政治家って・・・・大企業って?分かってるの~?・・・知ってるんでしょ~・・・でも~献金なんて普通じゃない?」
「ま~献金ならね~・・・それが~・・・あっ!!駄目駄目!!こう言う事は言えないの!!守秘義務って言う・・・・」
「ええ~!!ね~ぇ~、いいじゃ~ない~、ちょっとだけ・・・ちょっとだけ教えてよ~・・・・ね~・・・・ん~・・・分かった!!じゃあ、ヒント!!ねっ!ヒ・ン・ト」
「だっ、駄目たって・・・そう言われても・・・・」
「も~ケチッ!!・・・・だったら・・・・これならどう?」
手を胸のほうに持っていき、当てて目をウルウルさせてもう一度聞いた。
「ね~ぇ・・・ヒ・ン・ト!!」
耳元で囁かれ、ほろっと・・・・
「じゃあ~、ヒントだけなら・・・・でも絶対に他の人に言ったら駄目だよ!!い~い?」
「うん、約束する!!」
彩の心の中では
(ふふふ、馬鹿ね・・・・この世の中に絶対ってないのよ!!秘密って言う物は誰にも言わないから秘密になるのよ!!)
「企業の方だけど、M社なんだって・・・・」
「えっ?あのメスクリン社?」
「えっ!!あっ、いや~・・・・M社・・・って言っただけで・・・メスクリン社だなんて、一言も・・・・」
「でも、この近くにある大企業でMって言ったらあそこしかないじゃない~!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ね~そうなんでしょ~?」
「・・・・・・・・・・・・ま~後はご想像に・・・・・・・・・」
(男って本当に単純ね!!ターゲットは彼で決まりね・・・・後は、ミルダを呼び出して・・・)
隠し持っていた呼び出しようのベルのボタンを押した。
「ふふふ、まっ、良いわ!!そろそろ友達が来たみたい!!」
「えっ?どこどこ?」
「ほら、あそこ・・・スラッとして金髪の・・・」
雅憲は、指を指された方向を目が飛び出てしまうかと言うぐらい開いて確認した。
「うわ~!!凄い美人・・・・あんな美人見た事ない・・・」
「あら?私は美人じゃ~無いって事?さっき言ってたわよね?」
「えっ?あはははははは~・・・そっ、それは~・・・あっ、そうそう、君は~可愛い方で~・・・・」
「ふ~ん、そ~・・・じゃっ!あっちで友達が待っているから私行くね!」
「えっ?そっ、そんな~・・・せめて紹介だけでも・・・」
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(ふふふ、今度紹介してあげるわ!!その時に貴女は・・・・)
・・・・・数日前・・・
カラン、カラン~♪
「いらっしゃいませ・・・・お一人ですか?」
「あっ!はい・・・」
「ではこちらで・・・・」
「どうも~!・・・・・ふ~・・・今日も疲れたな~・・・何、飲もうかな~?」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まっ、とりあえずビールお願い!!」
「かしこまりました・・・」
「多分、この調子だと~今年も駄目かな~・・・・来週・・・・だもんな~・・・あ~あ・・・前回の試験が終わった時、この一年きちんとやれば受かると思ってたのに・・・気が付いたら・・・は~ぁ~・・・まっ、仕方ないか~・・・今年は諦めて来年に!・・・」
「どうぞ」
「ありがと~♪さ~て、考えても無駄だし、まずは飲むか~」
グビッ・グビッ・グビッ・・・・・・・・・・・
「ふ~・・・・いや~やっぱ~この最初の一杯が良いんだよね~・・・・あ~あ・・・良い事無いかな~・・・・」
独り言を呟いていると、カウンターに女性一人で飲んでいる姿が目に入った。
「おっ!!なかなかの美人じゃん!!」
そう言って、気付かれない様に近付いて行くが、その一言は彼女にとどいていた。
「あっ!!すいません・・・お一人で?・・・・」
「ふふっ・・・・今はそうよ・・・・」
「えっ?今????」
「ええ、待ち合わせしてるのよ!!」
「あ~・・・・待ち合わせ・・・・ね~・・・・これは・・・失礼しました・・・」
待ち合わせじゃ~しょうがない・・・仕方なくさっきまで座っていた席に戻ろうとした時、
「ふふふ、気にしなくていいわよ・・・まだ来る気配ないみたいだから、それまで一緒にどうかしら?」
と言う、思いもよらない返事がきた。
「えっ!!良いんですか?・・・でも・・・後から来た相手に・・・・」
「ふふふ、大丈夫よ!!一緒に飲む相手も女性だから・・・それに男性と飲むのって久しぶりだから・・・・ここまで言わせておいて断るなんてしないわよね?」
「もっ・・・もっちろん!!是非ご一緒させていただきます・・・」
(えっ?まじ!!まじでこんな美人が誘いにのったなんて・・・う、うそだろ・・・)
こんな美人と一緒に飲める機会はめったに無いと思い、しかし大いに喜ぶのはちょっと・・・・と思い、喜びを我慢して・・・
「ふふふ、じゃあ、あっちの席に移りましょう」
「ええ・・・」
「ふふふ、今に見てなさい・・・・これからたっぷりと可愛がってあげる・・・・」
そう言って、なにやらミルダや彩に調べさせた資料を見ながらプランを練っていた。
「今回は、あの二人に任せておけば良いかしら・・・・こっちは、まだまだお楽しみの続きがあるから・・・・」
プルルル・・・プルルルル・・・・
「何かしら?・・・・えっ!!なっ!!・・・で・・・データは・・・・そっ・・・・そう・・・復元は出来そうかしら・・・・分かったわ・・・・お願い・・・・」
ガチャッ!!
「ふっふっふっふっふっふ・・・・あははははははは~・・・・よくもやってくれたわね~・・・・何がお土産よ!!・・・・ただのウイルスじゃない!!・・・・」
深く腰掛けていた椅子から立ち上がって、机に置いてあった名刺を破ってゴミ箱に投げ捨て、どの様な仕返しをしようか考えている。
「ふふふ・・・・拉致・・・・誘拐・・・・人権侵害ですって・・・ふふふ・・・だったら、人じゃなければ人権もないわよね・・・・・・ふふふ・・・覚えてなさい・・・可愛くしてお人形にって思ったけど・・・・これだけじゃ~気が治まらないわね・・・・どうやって精神的に追い詰めてあげようかしら?・・・・くすっ!!ふふふ・・・そうだわ・・・あれよ!!あれ・・・あれがあるじゃない!!ふふふ・・・ふふっ・・・あはははははははははは・・・・どんな顔して謝るかしら~・・・楽しみだわ!!」
・・・・・・・・・・数ヵ月後・・・・・・・・
徹底的に調べた結果、会社の実態からその中の秘書課に目をつけた河西は、色々な方法で証拠を集めていた。
そして、その件を調べている事を知った、伊集院は大事にならない様に各部署に圧力をかけたが、一人で行動をする河西にとっては何にも効果はなかった。
そして、ある日・・・
一つの証拠を持って伊集院の前にある人物が現われた。
「あっ!!どうも~・・・私、こう言う者でして・・・」
そう言い、伊集院に名刺を手渡し話続ける河西、
「実は~・・・・こう言うものを入手したのですが・・・これって・・・・」
彼が色々な方法で入手した証拠の中に、女人化オークションによって入金された公に出来ない明細書の一部を伊集院に見せた。
「・・・・・・・・・・・いったい、これがなんでしょうか?」
表情一つ変えずに、伊集院が返答をするが・・・
「あれ~・・・・分かりませんかね~・・・・この前・・・ある建物で行われたんですよね~?・・・・これって・・・拉致、誘拐?・・・ま~・・・人権侵害も~・・・・」
「クスクス・・・拉致?誘拐?人権侵害ですって?・・・いったい何の事だかまったく見当も付きませんわ~?」
「へ~・・・そ~なんですか~・・・・まっ、でもこの資料の発信基は~・・・あそこのビルで、確か~この会社の所有物件ですよね~?しかも、この会場って・・・法務省に届出してある資料と合致しないんですよね~・・・・で・・・登記簿を詳しく調べても・・・それに、これを提出したのって・・・貴女・・・・ですよね~?」
「・・・・・・・・そうね・・・・・でも・・・・証拠は?」
登記簿の写しを出され、確認し少し考えた後に答える伊集院、
「はははは~・・・・証拠ですか~・・・・そうですね~・・・・ん~・・・確かに・・・そう言われると~・・・・でも、実際に人が行方不明になって、ここにいたとする様な、この資料をマスコミに流せば・・・ま~多分貴女の事ですから、色々な場所に根回しをしているんで、マスコミもすぐには動かないと思いますから・・・・ん~・・・・ネットで暴露みたいな事なんて、面白かったりしません?」
「ふふふ・・・で・・・・何が言いたいのかしら?」
今まで、まったく表情を変えなかった伊集院が少しひきつった笑顔で聞くと、
「まっ!!そういう事は、追々考えますわ~・・・そうですね~・・・ネットで流して、民意を見方にすれば勝ち目は・・・・ふっ!・・・冗談、冗談ですって!!ま~今日の所は、ちょっとした挨拶ですので・・・・・・・そんなに表情を硬くしなくても・・・美人が勿体無いですよ!はっはっはっはっは~」
そう言って、席を立って部屋の扉を開けて出て行こうとした。
「あっ・・・そうそう!!・・・お土産・・・・と言うか、ちょっとしたお礼を・・・・・置いておきましたから・・・・楽しんでくださいね?・・・・その代わりに、こっちはその分、良い物を頂いたんで・・・・・・後~・・・・変な考えは起こさないで下さいね!!自分が何かあった時の対策も設定してあるので・・・・じゃっ!!収入源さん!!あっはっはっはっはっはっはっはっはっは~!!」
バタン!!
そう言って、部屋を出て行った。