鏡（IF）の世界のお話

「ふふふ・・・よくお分かりになりましたね！！」
「そ、そりゃ～・・・そうでしょ・・・な、なんで・・・こ、これは・・・」
「ふふふ・・・入店の際に写真を撮らさせていただきました・・・結構いい出来でしょ？」
「え、ええ・・・で、でも・・・こんな短時間で・・・プリントアウトしたシールではなく、オセロにきちんと、俺の顔が描かれているじゃないですか！！これって・・・まさか・・・」
すこし、不安になって、ここで止めてしまってもいいかと思ったが・・・
『ねえねえ・・・早くプレイして、勝っちゃいましょうよ！！今までが今まだだったから余裕で勝てるわよ！！ふふふ！！ねぇ～早く私を受け取ってよ！！』
（またか・・・まぁ～そうかもしれないな・・・）
聞こえてきた声に乗せられて、断る機会を失ってしまった・・・
「ふふふ・・・サービスですから・・・あまり深く考えると、勝負に支障が出ますよ・・・さあ・・・始めますよ！」
「あ、はい・・・」
「では・・・私からで、宜しいですね？」
「はい・・・・」
（この角を取っていけば・・・）
『ダメ！！そこじゃなくて、ここよ！！ここ！！』
（ん？何言ってんだよ！！こっちだろ？）
『いいえ・・・ここよ！ここ！』
考えているうちに、勝手に手が動いて、変な位置に置いてしまった・・・
（えっ？何で、ここに？）
「ふふふ・・・では・・・ここに・・・」
（やばっ！！さっきの・・・まずかったな～・・・じゃあ・・・次は・・・）
『ふふふ・・・ここに置けばいいのよ！』
と、また勝手に手が動いて、声の言いなりに変な位置に置いてしまった・・・
「くすくす・・・では・・・この角を頂きます・・・・」
角を取られ、一気にドールが増えていく・・・
（くっそ～・・・このままだと、やばいかも・・・）
ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・・
（なんだ？この音？うるさいな～・・・今集中しないといけないのに・・・）
『ふふふ・・・次は～・・・ここよ！！ここ！！』
（あ！！！そこはダメ！！そんな所に置いたら、俺が消えちゃうだろ！！）
『ふふふ・・・そうね・・・』
（そうねって・・・楽しそうだな？）
『ふふふ・・・さぁ～・・・・で・・・どこに置くの？』
（そりゃ～決まってるだろ？ここだろ？）
『ふふふ・・・そう・・・そこよ・・・』
ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・・
パチン！
ぎこちない動きで、オセロを置く・・・
「この角、取れたのに・・・なんでこんな場所に・・・ま～考えがあるのでしょうね・・・では・・・この角も私が頂きますね！！」
そう言って、3つ目の角も取られてしまった・・・
（ああ～・・・残り・・・一箇所・・・一発逆転・・・って・・・いけるかな？って・・・本当にまずい状態かも・・・）
ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・・
（何だよ！！一体この音は！！何でこんなに近くで鳴るんだよ！！）
ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・ギ、ギ、ギ・・・・ギィ～・・・・
身体を動かすたびに、音が鳴る・・・
なんだか、動きにくい・・・指が硬い・・・体が硬い・・・
間接が・・・硬い・・・なんで？何でだろう・・・？
『ふふふ・・・可愛いわね！！』
（可愛い？可愛いって・・・誰が？）
『ふふふ・・・あなたの事よ！！』
（はぁ？俺が？俺が可愛い？）
『ええ！そうよ！！ふふふ・・・もう少しで、もっと可愛くなれるのよ！！』
（もう少しで、可愛くなれる？何言ってんだ？なんで可愛くならなきゃいけないんだよ！！）
『ふふふ・・・なんででしょうね～？って・・・ほら・・・次、あなたの番でしょ？どこに置くか分かってるでしょ？』
（ああ・・・ここに置けば、全てドールで埋め尽くされる・・・）
『ふふふ・・・分かってるじゃない！！じゃあ・・・そこに・・・』
（ええ・・・そうね・・・・）
何も考えずに、そのまま、置いてしまった・・

続く